このブログを開いてくださり、ありがとうございます!ICC学生スタッフのRihoです。
ICCを1年休み、アメリカイリノイ州のシカゴ大学に交換留学していました! U.S. News & World Report誌の2022-23年全米大学ランキングにおいて6位に選ばれ、ノーベル賞受賞者をなんと97名輩出している大学です。このような世界トップクラスの研究大学に早稲田大学のGlobal Leadership Fellows Programを通じて、有難いことに行かせていただきました。
ここから本題です!シカゴ大学には「楽しみが死ぬ場所(Where Fun Goes to Die)」という非公式ですが、有名なスローガンがあります。そのせいか、アメリカに住んでいる方にシカゴ大学に留学していることを伝えると、必ず睡眠時間やメンタルヘルスの心配をされていました!私の好きな映画『ザ・コンサルタント』(The Accountant)においても、"I studied accounting at the University of Chicago, where fun goes to die"という冗談めいた自己紹介のシーンがあります。
さて、シカゴ大学は本当に「楽しみが死ぬ場所」なのでしょうか?私の留学生活の経験を中心に答えを探していきたいと思います!これ以降の記事の内容は筆者の主観に基づきます。シカゴ大学が「楽しみが死ぬ場所」と言われる理由を一緒に検証していきましょう!
授業
シカゴ大学のストレス・カルチャーの最も大きな要因は恐らく授業です。交換留学生向けのオリエンテーションが登録単位数を最低限まで減らすべき旨の勧告、不安解消と先延ばし克服のための学内セラピーの案内から始まった時点で察していましたが、想像以上でした!
まず、大学の特徴としてクォーター制(4学期制)が挙げられます。早稲田大学のようなセメスター制の大学で16週間使って学ぶ内容、もしくはそれ以上を10週間にギュッと詰め込んでいるイメージです。各授業、毎週3時間の講義があります。早稲田大学と比較して、授業で学ぶ概念や理論の難易度は同じくらいのレベルだと感じましたが、授業期間が短いことから、授業の内容についていくために毎週予習と復習にかなりの時間と労力をかけていました。1週間の折り返し地点となる水曜日に販売される$1のMilkshakeといった小さな幸せに大きな楽しみを感じました!!
$1のMilkshake!このHutchinson Commonsというダイニングホールでは
映画ハリー・ポッターの一部のシーンが撮影されました! (photo by author)
現地学生によると、課題量と図書館で過ごす時間は他の米国大学と比較しても頭抜けている模様です。授業にもよりますが、Week 1(新学期の一週目)から200ページ以上のリーディングや15時間以上かかるグループワークが当たり前のように課されます。日本の大学受験前のように、休む暇無く、常に切羽詰まっている状態が続きます。人気の勉強スポットは Regenstein Libraryで、多くの学生が集まるため館内のwifiが1時間に数回切れたり、友達の居場所を確認するときに「今どこ?」ではなく"Reg?"とメッセージしたりします。図書館は映画のセットのような建物で、行くだけでモチベーションがかなり上がります!ちなみに、Regenstein Libraryに隣接しているManseuto Libraryでは"Divergent"という映画のワンシーンが撮影されました!
留学生活の大半を過ごしたであろうRegenstein Library (photo by author)
映画"Divergent"が撮影されたManseuto Library (photo by author)
さらに、シカゴ大学は成績の付け方が厳しく、授業中の発言が成績に大きな影響を与えることで有名です。この大学は「成績だけが下がる場所("where the only thing that goes down on you is your GPA")」とも言われていて、良い成績を得るための競争率が非常に高いです。高校時の平均GPAが3.89/4.0であるがゆえ、所属学生は計り知れないプレッシャーを背負っているのでしょう。また、プログラミングや数学を含む全ての授業で積極的な発言と質問が求められます。中身の無い意見を共有すると成績に悪影響を及ぼすこともあり、常に批判的に捉えたり、過去の授業内容やリーディングと結びつけたりして、他の学生にとっても学びとなる発言をする必要があります。これは中高や大学を日本で過ごしてきた私にとって難易度が高く、何度か絶望しましたが、日本で過ごしてきた日々を活かした日米比較の意見を積極的に共有するようになってからは、ポジティブなコメントやフィードバックを貰える回数が増えました。
課外活動
ビジネス系サークルの入会倍率の高さやタスクの多さも、シカゴ大生のメンタルに影響を与えていると言えます。シカゴ大学含む米国名門大学には、コンサルティングや金融などビジネス関連の学生団体が存在し、学生間ではかなり人気です。例えば、全サークルが集まるフェアでもビジネス系サークルのブースが圧倒的に混んでいたり、一度の説明会に300名ほど集まり教室に入れなかったりしました。そして、このような団体に所属するにはレジュメやカバーレターの提出は勿論、複数のケース面接やグループディスカッション選考に合格しなければなりません。応募者が多いため合格率は低くく、能力が高い友人でさえ惜しくも不合格となり、自己肯定感が下がってしまうのを見てきました。シカゴ大の学生は、高校時代は学年トップの優等生で「不合格」の経験があまりないためより落ち込む気がします。更に、入会後もほぼ毎週タスクがあったり、ミーティングの欠席回数の上限が厳しく設定されていたりして、どんなに学業が忙しい時期でも両立しなくてはいけません。
そして、私がシカゴ大学で一番驚いたことは大多数の学生が1年生から長期インターンにコミットしている点です。随所で感じられますが、印象に残っているのは「夏休み何するの(What are you doing in the summer)?」という質問は、多くの場合「夏休みはどんな長期インターンをするの?」と同義だということです。全く強制ではありませんが、周りがインターンをしているという理由で始める学生が多い気がします。
ですが!就職活動を始める高学年の時期になってくると、遊ぶ暇も惜しんで課外活動に取り組んだ毎日に感謝し始めます!低学年の頃から厳しいサークルや長期インターンにコミットしているので、日本で言うところのガクチカ(学生時代に力を入れたこと)のエピソード作りや、志望業界選びに頭を抱えることは少ないでしょう。より長期的に捉えると、シカゴ大学の学業と課外活動のマルチタスクに慣れておけば、社会人生活が始まった際に酷く苦しまずに済むとも言えるかもしれませんね!
天気
セ氏0度以下の日々が続くシカゴの冬も、学生の気分の落ち込みを助長しているでしょう。それに加え、シカゴはウィンディ・シティ(風の町)とも言われるように、風が吹き荒れ、体感温度はもっと低くなります!この状態が11月下旬から4月まで続きます。
優秀な大学だからこそ、学生はシカゴ以外の場所出身の方が大多数を占めています。それ故、急激な寒さに適応できず、精神的にも肉体的にも辛いと嘆いている学生が沢山いました。幼稚園から一番好きな季節は冬と答え続け、小学校からスキーやスケートなどのウィンタースポーツをやり続けた私でさえ、全く外出せず部屋に引きこもっている時期があったぐらいです!実際、天気とメンタルヘルスには相関関係があるという研究がシカゴ大学では...されているか分かりませんが...私は信じています!
5月にはやっと長い冬が終わり、春がやってきます。シカゴ大学で迎えた春には、春を「うららかな」季節という理由を強く実感できました!キャンパス内に咲く花や鳴く鳥を見かけたり、庭園で太陽に照らされながらグループワークをしたりするだけで、ポカポカと心温まる気持ちになっていました。テンションが上がって、木の上でレポートを書いたり、フリスビーで遊んだりするなんとも微笑ましい学生も多々見かけました!
春の様子 (photo by author)
結局、楽しみが死ぬ場所なのか?
確かに他の大学と比べて、授業や課外活動で求められることが大きいのでストレスフルな環境かもしれません。シカゴ大学が「ダンテが忘れた地獄の圏(The Level of Hell Dante Forgot)」とも言われる所以です。
しかし、1年間の留学生活を振り返り、シカゴ大学は楽しみが死ぬ場所であると同時に、楽しみを強く実感できる場でもあると考えています。厳しい環境に身を置いていたからこそ、他の方にとっては取るにたらず、見過ごしてしまうことに対しても歓喜を味わうことができました。ここだけの話、何にも追われず、旅行のような留学生活を選ぶべきだったと後悔した日もありましたが、逆に遊びばかりだと感覚が麻痺して楽しさを楽しさと感じなくなっていたと思います...!
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!これから留学に行く予定の方や留学のイメージを掴みたい方にとって為になる内容になればと思い書いたブログですが、いかがでしたか?他の学生スタッフも留学体験について記事を作成しているので、お時間があればぜひそちらも読んでみてください!
Riho (ICC Student Staff Leader)
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