こんにちは!ICC学生スタッフのW.K.です。時間が経つのは本当にあっという間で、あと数か月で私がICCで働き始めてから1年が経つことになります。どうしよう!信じられません(笑)。
次々と後輩のスタッフが入ってきて、自分が「先輩」になっていくこと、そして今年の夏からの留学で、しばらくICCを離れてしまうことなど色々と不安もありますが、それまで学べることはたくさん吸収して、留学後はもっとSSLとしてレベルアップしてICCに帰って来られるように頑張りたいと思います…!
さて、今回は、私の趣味である「Jazz」のお話をさせていただきたいと思います。とは言え、ジャズを聴いたり演奏し始めてからまだ1年も経っていないので、あまり細かいことや深いことは語れませんが、ご了承ください(笑)
1年生の1学期から今までICCに所属してきた私にとって、ICCは私の学生生活を語る上で既に欠かせない存在となっていますが、実は私は2つのサークルにも所属し、楽しく活動しています。そのうちの1つである「ニューオルリンズジャズクラブ」は、私をジャズの世界に足を踏み入れるきっかけとなったサークルです。
私は、小学校低学年の頃から大学受験前まで、習い事として、細々とではありますが、ずっとクラシックピアノを弾いていたこともあり、大学でも音楽・特にピアノを続けたいと思っていました。自分自身前から何人かでバンドを組んで合奏することへの憧れがあり、新しいことに挑戦してみたいという思いもあったので、ジャズに挑戦してみようと決心し、サークルの新歓期間はずっとジャズサークルを探していました。早稲田の中でいくつかあるジャズサークルの中でも、ニューオルリンズジャズクラブのブースに行った際、「ディズニーランドでよく流れているような明るくて賑やかなジャズ」が演奏できるよ、と先輩から説明を受け(実際にパーク内でよく流れています!)、ディズニー好きだった私は「ディズニー!?楽しそう!」とかなり軽い気持ちで入部を決めました。
入部後は、トランペット・クラリネット・トロンボーン・バンジョー(ギターのような楽器)・ドラムなど様々な楽器がある中で、希望していたピアノパートに配属されることができました。新歓ライブなどで先輩方は明るくリズミカルな曲を軽々と演奏していましたが、聴いているときのイメージとは異なり、いざ自分が弾くとなると、想像を超える難しさがありました。このサークルでは、基本的に「楽譜」はなく、プロのバンドが演奏した曲を「音源」として聴き込み、聴こえた音を自ら楽譜に起こしてそれに基づいて練習します。特にピアノパートは速くて細かいメロディーや、装飾音、濁った和音が多いので、慣れない作業にとても苦労しました。また、演奏する際も、複雑なリズムを刻んだり、周りの音とのバランスをとったり、今までのクラシックのソロピアノとは異なる難しさに沢山気づかされました。それでも、同じ楽器でもクラシックとは全く違った音色が出せることや、バンドメンバーと話し合い工夫しながら演奏できることは、とても新鮮で楽しかったです。
ところで、「ニューオルリンズジャズ」とはそもそもどのようなジャズなのか、皆さんご存知でしょうか?軽快なリズムも魅力の一つであるのは確かですが、その明るさの背景にある歴史を知ったことで、私のニューオルリンズジャズに対するイメージは少し変わりました。
ニューオルリンズは、ジャズ発祥の地であり、ニューオルリンズジャスと呼ばれる最古のジャズは、当時奴隷から解放された黒人たちが、職を求めて歓楽街の酒場などで楽器演奏を始めたことがきっかけで誕生しました。楽器は、南軍の軍隊がマーチングなどで使っていたものを調達したようです。ピアノやギター、ドラムス、ウッドべースなどのリズムに合わせ、トランペットやクラリネット、トロンボーンなどがコード進行に沿ってアドリブを入れながら展開される、明るく賑やかな音楽であるのが特徴です。
しかし、1917年にアメリカが第1次世界大戦に参戦したのをきっかけに、ニューオルリンズの歓楽街は封鎖されてしまいます。そこで、ニューオルリンズのジャズ演奏者たちは、活動拠点をシカゴやニューヨークなどに移すこととなり、ジャズが米国全土に広がっていくこととなりました。
ジャズ発祥の地ニューオルリンズの、日本とは大きく異なる文化の一つに、お葬式があります。日本ではお葬式というと、静かに、重々しく厳格な雰囲気の中で行われるイメージですが、なんとニューオルリンズでは、それとは逆に明るく賑やかなブラスバンドのジャズに合わせて参列者たちがお祭り騒ぎをしながら死者を送り出す「ジャズ葬」が行われています。それは、ニューオルリンズのジャズ葬が、故人の死を嘆き悲しむのではなく、死者が天国へ旅立つことを祝福する儀式だからです。
なぜ、ニューオルリンズのお葬式は、そのような明るいものになったのか。その理由は、ジャズが黒人たちによって生み出された音楽であるということに深く関係しています。人種差別によって迫害を受け、奴隷として労働を強いられていた時代、湿地帯であるニューオルリンズでは伝染病も多く発生していたということもあり、当時の黒人たちの中では、「死」は、悲しみと苦しみに満ちた現世から、解放されるための「救い」であるとする捉え方が存在したそうです。そのため、生の苦しみから解放された仲間への祝福として、陽気で楽しげな音楽とともに葬儀を行うようになったとのことです。みなさんは、「聖者の行進」という曲をご存知でしょうか?きっと一度は聞いたことがあるのではないかと思いますが、この曲は、元々はニューオリンズのお葬式で演奏されていたものです。
ニューオルリンズのジャズ葬を通して、私は、文化や歴史、人々の境遇によって葬儀の様式も変化するということを知りました。そして、全く異なる文化を持つ日本人である私たちは、ニューオルリンズジャズの歴史的背景などをしっかりと理解した上で、心を込めて演奏する必要がある、と強く感じました。
私のジャズへの興味を深めてくれたのは、サークルだけではありません。国際教養学部の授業(中級科目)で、私は先学期「Introduction to Jazz History」という科目を履修しました。この授業では、ニューオルリンズジャズをはじめ、様々な種類に派生していったジャズの歴史を、実際にジャズを鑑賞しながら学ぶことができました。特に、期末試験のテスト勉強のために様々な年代の膨大な量のジャズの曲を聴いて覚えたこと、自由課題として数軒のジャズ喫茶に足を運んでレポートを執筆したことは、私にとってジャズとじっくり向き合う良い経験となりました。今まで、私はジャズを鑑賞するよりは実際に自分が演奏することの方が多かったため、自分のお気に入りの曲を見つけたり、有名な演奏者それぞれの奏法や人生に着目して勉強するのはとても面白くて、楽しかったです。
また、新たなジャズとの出会いにも期待しています。私の今年の夏からの留学先のモントリオールは、芸術の街として知られていますが、ジャズもとても盛んです。ジャズバーが多く存在し、ジャズライブが頻繁に行われているそうで、「国際ジャズフェスティバル」という、30か国以上から3000組のアーティストが出演するお祭りが毎年6月下旬から7月上旬に開催されているほどです。ぜひ、休日などにジャズバーに足を運んだり、様々なイベントに参加して、ジャズに思いきり浸りたいと思います。
ところで、ICCラウンジでも、バックミュージックとしてジャズがよく流れていることに、皆さんお気づきでしょうか? 私はジャズを聴くようになってから、ラウンジで流れている曲の曲名が徐々に分かるようになってきて、最近一人でひそかに喜んでいます(笑)。
その他にも、ICCはジャズと関わりを持つことが多いように感じます。ICCでは過去にプロのジャズの演奏者を招いてイベントを行ったこともありますし、ランチイベント「ミュージック・ランチ」などに参加していただければ、早稲田の音楽サークルによるジャズを含む様々な音楽の演奏を聴く機会もあると思います。もしかしたら、そのうち私自身がICCでジャズイベントを企画するかもしれません! みなさん、少しでも興味があれば、ぜひぜひジャズ喫茶やICCのイベントなどを通して、ジャズに触れてみてくださいね。
長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。みなさん、体に気を付けてお過ごしください。
W.K. (Student Staff Leader)
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