こんにちは!じんじんです。ICCブログに、そしてこの記事にたどり着いてくださりありがとうございます。他にも興味深い記事がたくさんありますので、この記事を楽しんでいただいた後に他のページもぜひ覗いてみてください。
あなたは○○していますか?
さて、この記事では私がとあるやや珍しいアルバイトで学んだ○○について書かせていただきたいと思います。突然ですが、皆さんはあらゆる場面でコミュニケーションを取られると思いますが、その際になにか意識していることはありますか。
...少し質問が抽象的ですね。それでは、もう少し具体的に問いかけたいと思います。
あなたは会話するうえで
・相手が楽しむ工夫をしていますか
・相手が不快な思いをしない工夫をしていますか
・相手をほめることができますか
・上手に注意することができますか
すべてにおいて自信のある方、素晴らしいです。ぜひともその術を教えていただきたいです (笑)。どれか、もしくはすべて自信がない方もいらっしゃるかもしれません。ただ、実は無意識のうちにできている方も多いのではないでしょうか。ですのでお気になさらないでください。
反対に、会話中思ってもない一言を言ってしまった・言われた、相手の言動に違和感を感じたような経験はありますか。私は結構あります。発してしまった言葉を後で深く後悔した記憶がいくつか鮮明に残っています。
ある程度○○は何かということに予想がついた方も多いのではないのでしょうか。正解は、”気遣い”です。「なんだ、そんなことか」と思った方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、少し考えてみてください。
会話中に気遣いができると
良い印象を持たれる→人間関係が円滑に→なにか良いことが起きるきっかけに
非常にぼんやりしていますが、良いことずくめな気がしませんか?気遣いができる人を印象が良くないと考えている方はそれほど多くはないような気がします。
ところで、皆さんは気遣いと聞いてどんな職業を思い浮かべますか?
スターバックス店員、ディズニーキャスト、客室乗務員などなど、、
接客業のひとつであるホストを思い浮かべた方、まさにこれからお話ししたいことです。実はタイトルにある珍バイト、私が行っていた珍バイトはホストでした。
なぜホスト?
どうして私が大学生の間にホストを経験しておきたかったのか…
①憧れの人に近づくためのツールと考えた
中学生のころ、高校生の頃とそれぞれ憧れていた人がいましたが、どちらにも共通していたのは公私ともに所属団体の中心人物であり輝いていたように見えていた点でした。周りを上手くまとめ、自らを中心に良い雰囲気を作り出すことが私もできるようになりたいと思い、このアルバイトを通してできるようになるのではないかと考えました。
②まとまった額のお金を稼ぎたかった
大学生は時間こそたくさんあるものの、お金を用意するには限界があります。私は時間に余裕がある間にこそできる刺激的な体験をすることを求めていたので、海外旅行をたくさんしたいと考えておりました。とはいえ海外旅行には高い費用がかかります。しかしホストとして働けば濃い経験だけでなくまとまったお金も手に入る可能性がある、とこれも魅力的に感じた理由のひとつでした。
③シンプルにモテたい
この理由が結構大きいです(笑)。この仕事に触れる前の当時の私には、ホストたちはその容姿、時に楽しませ時に魅了する話術、お客様を離れなくする心理術など、モテるための要素すべてを掴んだような雲の上の存在のように感じておりました。そのため、私にもその要素をおすそ分けしてほしいな、という立派とは言い難い理由もありました。
ここまでいくつかホストをやってみたいと考えた理由を述べましたが、やはり一番大きかったものは「コンプレックスの解消」のためでした。私は元来人と話すことは好きではあるものの自分に自信を持てなかったため思い通りに会話ができず、人間関係も想像していた通りに築くことができていませんでした。思い描いていたコミュニケーションが取れていない、関係性を築くことができていない、これが私のコンプレックスでした。ホストという職業は世間から見てあまり良くないイメージも少なからずあると思いますが、やはり接客という面では非常に高度な技術が必要とされる職業だと考えています。お客さんが日々の辛いことを忘れることのできる場、t言葉だけでは表現しきれないだろうと思います。「人間関係コンプレックスの塊」という重たすぎるハンデを背負った私がその環境に飛び込んだら、一体どうなると思いますか?
ホストクラブで学んだこと
私はホストクラブで半年間働きましたが、毎日色々なキャストと働き、新しい出会いが転がっている環境にいたことで、人間関係において常に学びであふれる日々を過ごすことができました。詳しいエピソードもいくつかお話ししたくてたまりませんが、この記事の主旨とはあまり関係ないので、ここでは学んだことをいくつか簡単に紹介させていただきます。
①キャスト同士でマイナスな発言をしてはいけない
私含め学生の多くは、「だるい」「疲れた」「帰りたい」「つまらない」など、何度も聞くと不快になるような発言を簡単に漏らしている気がします。職場では、このような発言はNGでした。なぜなら、キャストの給料は月ごとの売上成績に左右され、店舗売上額にも関わるため、キャストのモチベーションが売上を伸ばすための何よりも重要なエネルギーであったからです。売上を伸ばすために努力している人は睡眠時間を削り、お客様とこまめに連絡し、多くの人と会う時間を作っていました。眠い、疲れているのは当然のはずです。それを吐き出すことは楽ですが、周りで聞いている人のモチベーションにも影響してしまうため、職場でマイナスな発言をすることは禁じられていました。私も自分自身を振り返ってみると、周りが聞いたら良い気分はしない発言を簡単に漏らしていたと感じています。これまで似たような発言で何人の人に不快な思いを抱かせてしまったかなと考えると、、いや考えたくないですね (笑) 。逆に周りを楽しませる、元気づけるような発言をできるように今も気を付けています。
②ご馳走してもらったときは再三のお礼
厳しく決まっている上下関係は、ホスト業界では暗黙の了解とされていましたので、職場でももちろん先輩後輩の上下関係が明確化されていました。そのため先輩キャストと食事に出かけると、決まってその方が食事代を出してくれていました。後輩はその際何をするかといいますと、文字通り3度お礼をするのです。1回目は会計直後、「〇〇さん、ご馳走様でした。」とお礼を言います。2回目は、食事代を出してくれた人と別れた直後に「〇〇さん、本日はご馳走でした。~......。」とお礼メールを送ります。3回目は、食事に出かけた次に再会したときに「〇〇さん、先日はご馳走でした。」とお礼を言います。この習慣に関しては賛否両論がありそうだと考えています。私も始めたてのときは大げさではないだろうかと考えていました。ただ、今考えるとこのような行為の積み重ねによって先輩キャストとの良好な関係性が築かれていったと考えております。実際に、どんなに忙しくても私の悩みを聞いてくれたり、私が忙しいときに代わりに私のお客様と仲良くしてくれたりと、こちらが想像していた以上に手助けをしてもらいました。私は感謝や敬意をはっきりと形で示そうとする意識がこれまでになかったために、積み重ねることによって良い形で返ってくることを非常に実感しました。
③主語は「俺」ではなく「僕」
これに関しては店舗によって適用されていないところもあるかと思いますが、私が働いていた店舗では一人称を「僕」にすることを徹底していました。このルールには、お客様と会話する際に丁寧な言葉遣いを自然にできるように、普段から「俺」と自分自身を呼ばないという意味がありました。お陰様で今も一人称「僕」が定着してしまっているのですが、目上の人と会話をする際に一人称に迷わずに済んでいるので良いかな、と思います (笑)。
簡単に私が学んだことを挙げさせていただきましたが、なにか共通することが見えてきませんか。少々手荒な括り方かもしれませんが、学んだこと①~③すべてに「相手を気遣う意図」が込められているように思います。①、③は最低限相手に不快な思いをさせないための気遣い、②は関係性を深めるための気遣いがありますね。実際に私は上記のものを遵守していた結果として、人付き合いがかなり楽になった実感があります。「人間関係コンプレックスの塊」の私が完全にこのコンプレックスを解消したのですよ、この私が!!やはり良い関係性を作るためには気遣いは大事なのだな、と思います。
気遣いの欠点
ここまで気遣いについて良いことしか記述しませんでしたが、欠点はなにか思い浮かぶでしょうか。友人にも聞いてみたところ、共感するポイントが多く興味深い回答をしてくれました。
・会話が盛り上がらない
気を遣うことで相手の深くまで入り込めず、当たり障りのない内容で会話が終わってしまうこと、多いですよね。私もこの状況を幾度も経験してきました。
・相手に逆に気を遣わせる負担を負わせる可能性がある
「全然良いよ気遣わなくて」
この言葉を聞いたことがある方、多いのではないでしょうか。気遣いすぎていることが相手に伝わった瞬間、お互いなんとなく気まずいような雰囲気が流れますよね。
気遣いすぎると相手に遠慮してしまい、距離が縮まりにくくなりそうですね。いざ気遣うことについて頭で考えてみたら、なかなか難しいです。
多様な気遣い
ここまでの話において、私の経験に関わっていた人物はもれなく日本の方でした。例えば、他の国で育った人、自分とは異なる社会状況の中で生きてきた人と接するにはどのように振舞えば良いのでしょうか。私はSSLの中で国際経験が多い方ではないので、私とは異なった経験をもつSSL何人かに聞いてみました。以下、各SSLの暮らしたことのある国とその国全体の気遣いについての傾向、個人的に気を付けていることをヒアリングした結果をまとめてみました。なお、国全体の傾向に関してはあくまでも個人的な視点から言及されているものですので、ご理解のほどよろしくお願いいたします!
わかび (アメリカの場合)
国全体では?
・好き嫌い、アレルギー、宗教などにより食べられるものの基準が様々であるため、一緒にご飯に行くとき・差し入れをするときなどにGoogleフォームを使うことも
・会話中に人種、ジェンダーに気を付けているようで、実はそれほど考えていない人が意外に多い
・どこの政党を支持しているかでその人を判断してしまう傾向がある
個人的には?
・相手のことを察するようにする
・なるべくコードスイッチング (複数の言語を文中でを切り替えること)しないようにする
・人種自虐ジョークを言うときは一緒にいる人のことを考える (同じ人種同士である場合はセーフ、他の人種の人がいる場合はアウト)
A.M. (アイルランドの場合)
国全体では?
・フレンドリーに知らない人が話しかけてくる
・誰かが道で演奏していたり部屋で音量を気にせず音楽を楽しむ
・特に同じ世代の友達と話すときはほとんど気を遣わない
個人的には?
・基本的に日本人は静かな雰囲気があるため、合わせる
・部屋では近所迷惑にならないように音楽の音量を下げる (日本で)
・アイルランドには大らかな人が多いので、特に何か気を付ける必要はなかった
H.S. (韓国の場合)
国全体では?
・ 家の経済状況について話さない
・政治の話をよくするが、深くしない (喧嘩になる可能性があるから)
・容姿をほめない、最近外見だけを見ることが若者の間で議論されている、H.S.自身は外見だけを重視することに関しては反対
・年齢上の人への呼び方にとても厳しい(同僚だけど年上の男性はオッパ、女性はオン二、同じ学校は男の人はサンベ<=先輩>→かなり仲良くなればオッパと呼ぶ)など
個人的には?
・自分の品格を下げないように、下品な言葉を人前で言わない
V.V (フランスの場合)
国全体では?
・相手の親と話すときは丁寧な話し方、知性を見せる
・政治について自分の観点を持つこと (わかっていないと恥ずかしいこともある)
・どこの政党を支持しているかでその人を判断してしまう傾向がある
個人的には?
・相手のことを知りたい
・どんな言語でも汚い言葉を言わない
・噂を自分の口から広めない、噂だけでその人との関係を変えない
・相手の時間を尊重、感謝
Yiyao (中国の場合)
国全体では?
・収入面の話は失礼 (普通の友達同士でも年収はどう?とは基本的に尋ねない)
・政治の話はしない方が良い (相手の考え方がわからないため関係性に影響、喧嘩になる可能性がある)
・商談では経済的に豊かである(成功している)ことを印象付けさせるために食べきれないほどの量の料理を注文する
個人的には?
・相手の好きなことについて色々聞く
・カジュアルに冗談を言うのが友達の間でよくある、初対面でもフォーマルすぎるよりこちらの方が好き
・それぞれ違うため人の生き方考え方を理解し尊重したい
本当はもっと色々な人に聞いてみたかったのですが、長くなりすぎそうなのでここで一旦ストップしたいと思います。本当に様々な答えがあったので、SSLに質問することで多くの発見があり、興味深かったです。中には私の今までの人生で考えたこともない視点もあり、驚かされることも多々ありました。例えばコードスイッチングをする場面を気にかけること、アイルランドではほとんど会話で気を付ける点がなかったこと、韓国・中国での政治について話すこと、フランスで相手の親と話すとき、などなど、、、
私は、自分の少ない経験だけを根拠に気遣うことが良いことだ!と、強く主張しすぎてしまっていたかもしれません。
さいごに
それでもやはり、私自身を人間関係においてかなり大きく変えてくれた「気遣うこと」は良いことも多いのではないかということは強調しておきたいです。気遣おうとする姿勢がある方とそうでない方の間には大きな差が生じると考えております (根拠はホストを経験する前と後の私です)。その一方で、国地域、人との間柄など気遣いに関する考え方は本当に様々であることを自覚しなければならないということにSSLに質問を重ねていくうえで気づかされました。私自身の少しの経験と狭い視野から気遣うことは絶対良いことだと断言するのは危険であると思います。まるで気遣いを押し売りしているようです。私は「気遣いを良いことであると捉える国民性」である日本で育ち、気遣いを最大限にしなくてはならないコミュニティに属す経験をしたことで、今は気遣うことはとても大事であると考えております。しかし、ひょっとしたら私も1年後は「気遣いっていらなくない?」という考え方になっている可能性もあるかもしれません。これからも色々な目新しい経験を積みたいと思いますので、それに伴い気遣いについての価値観がどのように変化していくのか楽しみにしたいですね。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。私自身文章を書くことは得意ではなく、課題レポートも構成がぐちゃぐちゃになっていることを認識するのが怖くて見直すのを怠ったりするのですが、こんなに長い文章を楽しく書き切ることができてよかったです。他にもSSLの文才・ユーモア・興味深い経験たっぷりの記事がたくさんあります。ぜひ訪れてみてください!
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