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  • 執筆者の写真Iroha

多様性とかそれ以前に

更新日:2022年8月5日

Iroha(学生スタッフリーダー)


ICCの学生スタッフリーダー(SSL)として働くようになり、より様々な文化を肌で感じるようになりました。毎日がとても充実し始めた一方で、新たな環境に身を置くことは体力も使うようで、休日はだらだらと過ごすことが増えるようになりました。そんな惰眠を貪っていたとある休日、Netflixを漁っていると、ある番組に出会ってしまいました。


*以下は宣伝ではなく私個人として最強の番組を紹介しています。


『ハイパーハードボイルドグルメリポート』(テレビ東京)。それはまさに英語で言う「eye-opening」な番組。何がそんなにすごいのか、少し紹介します。

写される場所がとてもディープ


この番組は、グルメ番組の区分に入ります。その為、様々な人の食べ物が写されるのですが、その取材場所が普通なら絶対に足を踏み入れることのできないところばかりなのです。例えば「廃墟に暮らす元少女兵」や「ゴミ山で暮らす少年」、「カルト教団」や「香港のデモ隊」など、取材中にいつ死んでしまってもおかしくないような世界を、ディレクターの上出遼平さんは現地ガイドとたった二人で取材します。時にはカメラを奪われそうになったり、現地の人でさえ危険という場所に行ったりと、見ている側は本当に大丈夫なのかとスリルを感じながら観ることができます。


ナレーションが無い


この番組、ナレーションが無いのです。その為、現地の人が淡々と写され解説がありません。ただでさえ自分の住む世界とは全く違う世界を映し出されているのに、ナレーションや解説が無いと「なぜ?」がただただ膨らむばかりです。確かにディレクターが質問をしてわかることもありますがそれだけでは足りません。また、中には今まで、ただ悪い人、という認識を持っていた人々も写されます。彼らの主張に対し、それをどう解釈するかは我々視聴者にゆだねられています。彼らの意見を聞いていると、ただ悪い人、良い人といった善悪二元論では語ることのできない複雑な社会や感情が垣間見え、視聴後に様々なことを考えさせられます。

食の在り方を考えさせられる


私にとっての食というのは、様々な種類があり楽しいことで、自己紹介等でも「趣味は食べることです」というフレーズを何度も耳にします。しかし、この番組で写される食は、命がけのもので必要最低限のもの、という場合もあります。食べるためには働かなくてはならない。でもその働き方は決して楽なものでなく、常に死と隣り合わせであったり、寿命を縮ませながら行うものであったり… しかし、逃れることのできない負の連鎖や不条理さを多く目にする一方で、そこに写る人々の優しさも目にします。過酷な社会の中で生きていても、美味しそうに、嬉しそうに食べる姿を観ると胸が締め付けられるとともに、全世界共通の食の偉大さを再認識します。


生きるってなんだ?


今までに見たことのない様々な国籍やバックグラウンドを持つ人々の生き様を映していくという面においてはこの番組はとても多様性が尊重されているものだと思います。ですが私はこの番組を観て、「これは多様性に富んでいるな、ふむふむ」といった風に考えることができませんでした。多様性とか異文化とかそれ以前に、「生きる」こととは何なのか考えさせられます。明日生きていくためのお金が無い、とか、明日殺されるかもしれないとかそんな究極の世界に身を置いたことのない私には、その番組にうつされるどの人たちのこともを完全に理解することは出来ないし、同じ気持ちになることは出来ません。ただ自分は毎日ちっぽけなことでへこたれて、夜ご飯が焼き魚な日は文句を言う、そんな贅沢なことができる環境にいて、何も知らないという事実を突き付けられ、やるせない気持ちになるのです。生きることというのは同時に死ぬことでもあるのに、死というものが余りにも遠くふわふわしている。生きていることが当たり前の自分の環境がどれだけ恵まれていることなのか、視聴後私はよく考えます。世界にはいろんな人がいる。だからせめて私も自分の生を無駄にしないで精一杯生きよう、そう改めて思わされます。

ここまで、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の番組を熱く語らせていただきましたが、実はこの番組の取材は日本にも進出しているのです。SpotifyのPodcastには、日本にいる「ヤバい」人々の「ヤバい」飯を音声のみで聞くことができます。存在は知っていてもどんな活動をして何を考えているのかはわからないものから、え、そんな仕事あったのかという驚きの仕事をする人まで、様々なディープな世界を垣間見ることができます。長々と語るのもここまでにして、『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の熱さを少しでも伝わっていれば幸いです。もし、自分の毎日にメリハリが無かったりやる気が出なかったり、少しでも刺激が欲しい、ディープな世界を覗いてみたい人は、ぜひおすすめします。


Image by Pixabay

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