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迫真水族館部 国内旅行の裏技 その3

Bonjour!

フランス語検定のための語学学習に勤しむ、SSL(Student Staff Leader)のレヴィア(Levia)です。4年生も後半生、就活やら勉強やら毎日がとても忙しいです。私の大学生活はあと半年もない、もうすぐ社会人になってしまう、そう思うとムカムカアンガーな気分になる時もあります。そんな時は、ふらふらと美しい景色を見に行くか、精神をととのえるためにサウナに行くか、あるいは水族館に行きましょう。


さて、今回のブログのテーマは、日本の水族館第3弾です!


みなさんは、水族館は好きですか?私は大好きです。数多くの魚類はもちろんのこと、刺胞動物や軟体動物、甲殻類など無脊椎動物の展示は、人類が歴史を育むはるか以前から続く進化の歴史を眼前に見せてくれます。水棲の両生類・爬虫類がユニークな形態で興味深く、言わずもがなペンギンをはじめとする鳥類や哺乳類など海獣の展示は大迫力。ショーやお散歩は何度も見に行きたくなります。そしてなにより、その土地ならではの生態系についての展示があり、まさに非日常の場所にいるのだと実感することができます。私はもともと国内旅行をよくするのですが、特に最近は個人的水族館ブームの只中にあります。理由はいくつかありますが、やはり普段の生活では見ることのできない生物たちの生命力が感じられること、ヒトに至るまでの地球数億年の歴史をさまざまな生物の進化を通して目撃できること、ラテン語(生物の学名はラテン語、正確には少し違いますが)を日常的に見ることができる数少ない場所、というのが主たる理由でしょうか。最近のイチオシは汎節足動物です。既知生物種の大半を占める分類群であり、久しぶりに勉強していると汎甲殻類といった新しいグレード分けがしばしば登場するのに驚きます。エビの体節は頭部6節!胸部8節!腹部6節+尾扇1節!覚えましょう。


そういうわけで、我が国に100以上もある水族館のうち、私が訪れたいくつかを紹介します!どの水族館も魅力的で、可能ならばすべてを紹介したいのですが、それをするには余白が足りません。そこで、いくつかの観点から総合的に評価してピックアップし、私のイチオシ水族館の魅力を語っていきたいと思います。

念押ししますが、この文章はただのブログです!単に、私の私による私のための備忘録でしかないのですが、もしよければ、みなさんの旅行の参考になればと思います。なお、水族館の分布にも偏りがありますし、貧乏学生の視点から辛口評価を下すかもしれません…。



茨城県かすみがうら市水族館(茨城県かすみがうら市)

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・展示内容:☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆☆☆

・アクセス:☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆☆


早朝の茨城県は土浦市から、右回りで霞ヶ浦一周を目指してサイクリング。全行程100km以上、こんなにも長距離のサイクリングは初めてなので不安ですが、眼前に望む朝焼けの霞ヶ浦の絶景は、筆舌に尽くしがたい美しさであります。蓮畑の中をかき分けて、穏やかな湖を横目に、綺麗な空気をいっぱいに吸い込みながらサイクリング…。いい…。さて、湖畔の情景に心奪われながら自転車をこぐこと20kmほど、今回のサイクリング唯一の経由地である、かすみがうら市水族館へ到着です。かすかす~


さて、この水族館、私がいままで訪れたことのある水族館の中で最小のサイズです。ICCラウンジ4つ分程度でしょうか、一目して施設全体のサイズ感が把握できる程度の広さしかありません。しかしながら、侮る勿れ。その展示内容は、私の心を揺さぶるほどの高いクオリティでありました。とはいえ事実として、一部両生類や爬虫類、大型淡水魚もいるとはいえ、メインの展示の種類についてはコイ目(Cypriniformes)、ナマズ目(Siluriformes)、サケ目(Salmoniformes)の淡水魚がほとんどであり、デッカイ水槽にバーンと有名な生き物が展示してあるわけではない。そこで、水族館側の展示に従い、私なりの楽しみ方を究めてみましょう。魚を見るなら、鰭と鰭条を見よ。魚を分類するうえでの重要な形質差異であり、この水族館の展示方法からしてその観察に大変適しています。小さめの水槽たちに特定の種がおり、学名表記はないものの、「学生証」なる名前で展示生物の情報が分かりやすくまとめられており、丁寧。分類も目以下が書かれているのは大変ありがたい。ここでゆっくりとスケッチして、将来の分類学検定に備えます。じっくりと観察ができる、教育施設的な趣の方がより感じられる場所ですね。いやいや、それだけではないです。透明骨格標本ガチャ500円!もちろん本物!やすい!これは回すしかないと思い、シラウオ(Salangidae)をGET。これはハマっちゃうと危険なヤツですが、こういう工夫も面白いです。また、掲げられている地図の自治体が大合併以前のものであることも味がありますね。


「大」は「小」を、兼ねないのである。ざっと見れば15分で終わりそうな展示も、じっくりと楽しむことで気が付けば1時間半が経過していました。展示内容の工夫と旅情の空気感さえ醸成できればいい水族館が生まれるのだと知る、いい先例でありました。



沖縄美ら海水族館(沖縄県国頭郡本部町)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆☆

・アクセス:☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆


はじめての沖縄訪問です。飛行機から見える海の色はサンゴ礁のそれであり、旅の始まりに心躍らせます。那覇空港に降り立って先ずすることといえば、そう、日本最南端の鉄道ことゆいレールを全線制覇すること。ほぼ前情報なしで乗ったものの、モノレール然とした急勾配が特徴だったと鮮烈な印象を覚えています。そしてソーキそばを食べる。硬め濃いめ多めのラーメンが大好きな私ですが、これもまた美味でした。さて13時過ぎ、明日は朝からの船で鹿児島まで向かう予定です。しかし今日は、沖縄本島の中心地からさらに北へと向かい、有名観光地である海洋博公園で遊びましょう。


今回の目的地・沖縄美ら海水族館は、日本を代表する水族館のひとつではないでしょうか。水族館巡りにハマる前からその名を知っており、かねてから訪れたいと思っていたこの地にはるばるやって来て、まさにいま足を踏み入れるのだという感覚…。期待に胸を膨らませながら、いざ入館。地元・沖縄の海の展示ということで鮮やかなサンゴ礁の水槽が眼前に広がります。いつも水族館で見るようなニセモノのプラスチックサンゴではなく、まさに今朝飛行機の上から見たサンゴ礁の海がこうであったのかと、感動を抑えきれません。細やかな企画展示も興味深いものが多く、猛毒動物特集ということで、棘皮動物(Echinodermata)が水槽に張り付いてその五放射相称が明瞭になっている姿が面白くて、人流が少ないこともあってかじっくりと見続けてしまいました。後口動物の姿か?これが…。管足、キャッチ結合組織、すごいなア…。その隣にあるのは、エビ類(Decapoda)をはじめとした大型甲殻類の展示。ちょうど甲殻類の体節について学んだばかりであったので、またまた足を止めて展示を見る…。そうこうしているうちに閉館時間が迫ってきたので、ようやくメインの大水槽と対面します。迫力のある大型回遊魚がいて、まア、迫力があってよいと思います。そんなことより、出口近くにある、付近の自然環境や生息生物についての資料展示が大変興味深い。私もずいぶん南の方まで来てしまったのだなあと、改めて生態系の差異を嚙み締めている間に、いつの間にか閉館時間20分前!一度本館を離れて、別施設にいるあの海獣を見に行かねばなりません。


やってみせろよ、マナティー!なんとでもなるはずだ!海牛だと!?


マナティーも見たことで大満足、宿泊予定の瀬底島まで歩いて帰りましょう。エッ、ふつうにパイナップルが木に生ってるんですけど…。そして海岸にはサンゴの亡骸が堆積しており、これが数億年後の石灰岩層を構成していくのだろうと、あまりにも非日常な光景に大興奮。初の沖縄旅行、良い思い出になりました。



いおワールド鹿児島水族館(鹿児島県鹿児島市)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆

・アクセス:☆☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆☆


沖縄県から丸一日の船の旅、朝起きると屋久島や種子島の輪郭は彼方にぼんやりと映り、前方には見えるのは壮大な桜島の姿。時として火を噴くも鹿児島の象徴たる景色を構成するその山体は美しく、ああ、ようやく鹿児島までやって来たのだと、得も言われぬ感動を増幅させる、素敵な朝の情景です。この後の予定は、普通列車に揺られて宮崎県の延岡市まで向かいます。でもまア、午前中は時間に余裕があるので、せっかくですから近くにある水族館に行ってみましょう。


鹿児島港発フェリーのりばからノンビリと朝の散歩をすること数十分、一番乗りで目的地・いおワールド鹿児島水族館に到着です。さて、水族館にあさイチで来た時にすること、みなさんは分るでしょうか?そうですね、人目を憚らずルンルンと、入口から出口までざっと歩いてみて展示内容を見定めましょう!うーむこの水族館、全体的にハイレベルにまとまっていて雰囲気も良好です。エスカレーターを上がった先にはまず、ジンベイザメ(Rhincodon typus)が目玉の大水槽がありド迫力。私好みの地元生物たちの展示は実に多様で、地味なベントスから美しいサンゴ礁まで、色鮮やかで飽きが来ない充実の内容です。この水族館にてサツマハオリムシ(Lamellibrachia satsuma)と初遭遇。私はそもそも環形動物門(Annelida)については詳しくはないですが、なんとも珍妙な生態をしていますね…。分子系統解析が進みさらに複雑な分類群となった環形動物、このハオリムシは「サツマ」という鹿児島の名前を学名に関するということで、私の旅情はさらなる昂りへと至ります。そして下の階に進むと、暗めの雰囲気の部屋に珍しい海棲生物たちが一堂に会して、良いです。やはり印象深いのは、偕老同穴(Euplectella aspergillum)!私たち後生動物の基部にあたる海綿動物門(Porifera)、その異質さはサツマハオリムシよりも一層、私にとっては未知かもしれません。一見して生物とは思えないその見た目、一度見ると忘れられません。最近流行りのクラゲ展示ももちろん完備。学名表記も分類学的解説もしっかりしており、私の需要をピンポイントで満たしてくれる展示内容に大満足。1階にはアマゾン風の展示に加え、地元密着型の体験ゾーンもあります。最後にはイルカを見に行って締めです。ここのイルカたち、なんともサービス過剰です。私が手を振ったり話しかけたりすると、彼らも大ぶりな反応で返してくれます。水がかかりそうだ!なんと本日のイルカたちのショーは、施設外にある運河で行われるということで、とても新鮮な感覚。私の期待を大幅に上回ってくれた、総合評価の高いとても素晴らしい水族館でした。



越前松島水族館(福井県坂井市)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆☆

・アクセス:☆☆

・周辺施設:☆☆

・眺望:☆☆☆☆☆


えちぜん鉄道にのんびりと揺られながら、終点は三国港駅で下車。九頭竜川河口のまさにその地であり、沿線に長らく続いていたのどかな田園風景から、迫力ある海岸の景色へと移り変わっていくことが実感できます。その風景とは、天下の奇勝である東尋坊。迫りくる柱状節理の断崖と日本海の荒波が生み出す大音響は、その姿を直接目にする前からも期待感を昂らせるものであります。そんな絶景を横目に、私は只管に水族館へ向けて歩きます。ちなみに、一昨日は虹ヶ咲のライブ、昨日は軽く京都で登山、今日は10kgの荷物を抱えて駅からここまで8kmウォーキング。絶景は何よりも疲労を克服させてくれるものですが、私の身体はとても正直です。肩も足もすでに疲労がキツイ。私は水族館を全力で楽しむことができるのでしょうか。


ようやくたどり着いた越前松島水族館、一見するとありがちな田舎の昭和水族館です。地域の生物展示と熱帯域の生き物展示、いくつかの海獣展示、そして学名表記なし。せっかく課金して観たムービーの内容は大変微妙…。ここまでだと☆3つ程度の内容ですが、実際にじっくりと廻ってみると、展示内容には随所で魅力的な工夫を感じられ、ニッチな層にも飽きさせない作りとなっています。まず、ぺんぎんらんど(太郎丸エンゼルランドではない)。透明な水槽が頭上にあり、フンボルトペンギン(Spheniscus humboldti)が羽ばたいている姿を目の当たりにできます。とりわけ衝撃を受けたのは、ペンギンたちの営巣エリアが岩場にではなくて草地にあること。野生化では岩場に営巣することのない彼ら温帯域のペンギンを、日本の水族館では岩場で表現しがちです。しかし、本水族館ではそのような妥協をせず、可能な限り野生化に近づけて展示しているということは感動的です。そしてふれあい体験も充実しており、魚たちや貝、ウニ(Echinoidea)やヒトデ(Asteroidea)などの棘皮動物に触れることができます。海辺にあるこのふれあい広場の雰囲気、北海道は小樽市にあるおたる水族館を思い出しますね。本水族館イチオシの展示エリアは、水面がシースルーとなっているサンゴ礁水槽。なんと上から、サンゴ礁の中を泳ぐ生き物たちを観察することができる新体験水槽です。平日お昼過ぎなのでほぼ貸し切り状態、サンゴ礁水槽を独り占めなのも良いですね。なによりも最高なのは、景色がイイこと。越前松島という名所が水族館のまさに目の前にあり、迫力ある柱状節理の並びに感動を覚えます。8kmも歩いた甲斐のある、素晴らしい水族館でした。



横浜・八景島シーパラダイス(神奈川県横浜市)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆

・アクセス:☆☆☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆


前々からとても気になっていた、横浜にある超有名複合型レジャー施設へ初訪問。AGT(Automated Guideway Transit)路線コンプリートという謎の自己ノルマを達成するため、本日は横浜シーサイドラインに乗車しました。さすがのAGT、高架かつ運転席もないということで、後面展望の景色は実によい眺めです。これが横浜の「浜」の部分にあたるのか、などと思いながら300万都市の車窓を優雅に眺める時間です。そんな本日の目的地は、一見して人口の砂浜から続く陸繋砂州のようにも見える人工島・八景島シーパラダイスです。しかし、こういった総合リゾート系の水族館を一人で訪問するのは気が引けますね…。まア、私の好きなテレビアニメ「白い砂のアクアトープ」とのコラボがあるので来たかったというのはあるのですけど…。とりあえず入館だ!


第一印象として、水族館のある建物が巨大。水族館チケットで入館できる施設は複数に分かれているのですが、そのメインの三角屋根の建物は実に巨大で、これから私は何を見せられ、魅せられるのであろうか、期待が高まります。まず1階の展示ゾーン、王道の熱帯展示や海獣展示、迫力ある大型水槽があり、視界がなんとも賑やかしい。この当時の私はペンギンにハマっていたのですが、別施設と合わせて5種類のペンギンが所属し、大変眼福でございます。そうした水槽が、照明や通路設計などと上手くかみ合っていて大変見やすく、満足度が高いです。オウサマペンギン(Aptenodytes patagonicus)が水の中で羽ばたいているようす、何とも迫力がありますねぇ!そして2階へ行くエスカレーターですが、なんとメインの大水槽の中を通りながら進んでいくので、マジ興奮ものです。2階の展示は打って変わって地域の水生生物紹介が始まります。確かに先ほどまでの展示の方が人気のあるような気もしますが、私はむしろ、こうした展示の方が好みです。ゆっくり見ましょう。その次には、これも既にお馴染みとなったクラゲの展示。私、クラゲについての展示にそこまで興味はなかったのですが、この水族館、なんと刺胞動物門(Cnidaria)と有櫛動物(Ctenophora)の違いについてしっかりとした解説をしてくれています。両方とも和名では「クラゲ」とついていますが、実際は大きく系統の異なる動物たちです。ヒトとヒトデくらいは違います。分類学ドハマり中の私、こうした丁寧な解説があるだけで感動を隠せません。屋外展示に出るとさらに鳥類・哺乳類を含めた活気ある展示が続き、前述のように他の施設でもまだまだ水槽展示を楽しむことができます。一口で何度もおいしい、充実した都会の水族館でありました。



青森県営浅虫水族館(青森県青森市)

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・展示内容:☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆

・アクセス:☆☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆


本州を北上!東京から鈍行列車を乗り継いで、ようやく青森県にたどり着きました。「浅虫」という耳につく珍しい地名、初見の時からアイヌ語(asam+usで「底の多いところ」)ではないかと疑問を抱いていた私ですが、実際に降り立ってみて感じるのは、陸奥湾を望む普通の海岸であるということ。眼前にある湯ノ島という島は気になりますが、あとは部分的に砂浜が見えるのみで、波食棚が卓越しているとか隆起を繰り返している地であるとかいう印象は受けませんね…。わからないものはわからないので、とりあえず水族館を楽しみに行きましょう。


青森県営浅虫水族館の総合的な印象は、典型的な「いい」田舎の水族館。海を臨む立地、バカでかい駐車場、学名表記なし、フードコーナー、家族連れ。しばらく鑑賞して実感するのも、なるほど、まさに痒い所に手が届くといったような、まさに典型的な水族館の図像です。地域の海、地域の川、サンゴ礁の海、熱帯地域の川、ペンギンやアザラシの海獣展示、そして、イルカプール。ここのカマイルカ(Lagenorhynchus obliquidens)たちは中々に利口なようで、私が名前を呼ぶと反応を返してくれました。思うに施設は一部改装中ながら、昭和臭い施設の古めかしさはなく、水槽展示そのものは実に見やすいもので、電子掲示板のガイドなども多数あって新奇な感じもあります。と分析していたら、館内にあった水族館発行の広報資料を手に取ると、なんと発行年は2007年。独特な雰囲気のちぐはぐさに気圧されながら、まさに「日本の水族館」を楽しむことができる場所ですね。とはいえ、刺胞動物と有櫛動物がごちゃごちゃに展示されている中で、学名表記も分類説明もない中ではやはり解説不足であり、「クラゲだ!」と勘違いしている子どもたちには釘を刺してやりたい…!あ、刺胞動物は刺しますけど有櫛動物は刺しませんよ(激ウマギャグ)。さて最後に、この水族館で一番良かったと思う「むつ湾の海」をご紹介。対面する大水槽には名物であるカキの養殖のようすが成長段階別に展示されており、実に興味深い。そしてこの水槽はトンネル水槽となっており、陸奥湾の豊かな魚たちが練り泳ぐさまを迫力のある中で観察することができます。中には我々脊索動物の隣人であるホヤ(Ascidiacea)の展示もあり、これもまた東北らしくて珍しいものです。以上、久しぶりに水族館を純粋に楽しむことができたなアと思う、いい思い出となりました。



みやじマリン宮島水族館(広島県廿日市市)

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・展示内容:☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆

・アクセス:☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆


しまなみ海道サイクリングのついでに、広島県尾道市からさらに足を延ばして廿日市市までやってきました。日本三景のひとつである宮島は、やはり筆舌に尽くしがたい絶景。私にとっては中学生の修学旅行以来の同地訪問であり、期待・疲労・懐かしさが入り混じり、何とも言えぬ興奮がこみ上げてきます。10年振りの上陸、ベタですが厳島神社も弥山も素晴らしい観光地でございました。この後の予定はというと、宮島で一泊、そして水族館。本日の宿は、なんと水族館の目の前に位置しています。閉館まで遊びつくすぞ~!


さて入館。観光地ということもあり人流は多いですが、展示方法も雰囲気も大変良いです。入ってすぐに見える展示は、広島の名産たるカキ(Ostreoida)の展示。私はこの旅行で初めてカキを味わい、とくに体調を崩すということはなかったのですが、ナマで食べるのはよくないともしばし聞きます。メス牡蠣がよ…。それはそうと、ラテン語学名表記がしっかりされていることもポイント高めです。さらに進んで興味深い展示を発見。エイ(Batoidea上目の何か)とカブトガニ(Tachypleus tridentatus)が同じ水槽に展示してあって笑う。これ見た目が似ているからっていう理由で展示しているでしょ。あッでも、系統的には脊索動物と節足動物で全く異なるけど、形態の類似性を思えば収斂進化なのか…?カブトガニの魅力といえば、同じ鋏角亜門クモ形類の呼吸器である書肺と相同の書鰓がありますが、今回はうまく観察できなかったですね、再訪案件です。その他にも工夫を感じさせる良好な展示も然ることながら、王道たる広島県の生き物展示、珍しい小型海生生物展示、迫力ある大水槽、そして可愛らしいスナメリ(Neophocaena phocaenoides)など、バリエーション豊富な展示内容は私の心を惹きつけて止みません。全体的に高バランスでまとまっている、大変良い水族館でありました。そして次の日の朝、宿から出て軽く散歩していると、水族館から何かしらの海獣の唸り声が聞こえます。新鮮な経験ができました。



すさみ町立エビとカニの水族館(和歌山県西牟婁郡すさみ町)

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・展示内容:☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆☆

・アクセス:☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆


和歌山県広すぎるのでは?三重県をひたすらに縦断し続けて和歌山県新宮市へ到達、この時すでに疲労が激しい。そこからさらに南下・西進して白浜方面を目指します。無限に続くように思われるリアス海岸の美しさと太平洋の荒々しさ、そして背後に迫る熊野の山々は、かの有名な自然崇拝を育んできたことを納得させるような尊厳を誇っています。カムヤマトイワレヒコ東征の地となったまさにこの熊野の地に根付く、八咫烏と太陽信仰、徐福伝説、伊勢系神話と出雲系神話との対立など…。民俗学の面から鑑みても興味が尽きない情景が、確かに、説得力を持って私の眼前に広がっています。さて、今回途中下車するのは江住駅。道の駅にて昼食、鰹節(ここが発祥の地だ!)の丼ぶり飯でお腹一杯になった後、敷地内にあるにある水族館に行きましょう。


ここはエビとカニの水族館。かすみがうらほどではないですが、こちらも小規模な水族館です。聞いたところによると、元々は体育館だった施設を改装した施設であるとのことで、なんとなくではありますがその雰囲気は伝わってきます。さあ入館、狭めの通路と館内には、所狭しと様々な水槽が並んでいます。もちろん展示内容はエビとカニが中心。さあそれでは、ここで最近学んだ分類学の知識を確かみてみましょう。エビやカニとは(狭義)、節足動物門汎甲殻亜門マルチクラスタケア上綱軟甲綱真軟甲亜綱ホンエビ上目十脚目に属する生物たちのことで、その名の通り、歩脚が5対10本あるような外見をしていることが特徴です。しかし、冒頭で確認したように、エビ様の生物の体節は頭部6節、胸部8節、腹部6節+尾扇1節となっているため、胸部付属肢の後部5対が歩脚となる一方、前部3対は顎脚として頭部体節の付属肢と同様に振舞います。具体的に観察してみましょう。写真のアフリカミナミイセエビ(Jasus lalandii)はイセエビのなかま、確かに歩脚は10本、体節も腹部6節+尾扇1節が明瞭に判別できますね。ただし、頭部の体節は順に上唇、第1触角、第2触角、大顎、第1小顎、第2小顎となるはずですが、前述の顎脚とあわせて、何とも判別しづらい見た目となっていますね…。とはいえ、イセエビは第2触角が異常に太く大きくなりますので、そちらはよくよく観察できます。しばし混同されがちですが、ロブスターの仲間は触角が太くならず、第1歩脚が巨大な鋏脚となるので、イセエビとロブスターは別物です。もちろんロブスターも展示されていましたので、比較しながら十分に観察ができました。このように机上で学んだ知識を、実際にフィールドで実践できるという行動にこそ、学問の醍醐味があると実感しますね。また、学名や標準和名のみならず、ここ紀伊半島でのみ使用されるような流通名の紹介があり、なんとも旅情は高まります。カブトガニ(鋏角類なのでクモやサソリに近縁です)や一般の魚たちの展示、そして充実のふれあいスペースもあり、施設は小さいながらも工夫とバラエティーに富んだ内容に、大満足。また来たいと思わせる、和歌山の穴場スポットでした。



長崎ペンギン水族館(長崎県長崎市)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆

・アクセス:☆☆☆

・周辺施設:☆☆

・眺望:☆☆☆


名前がすでにネタバレ。初見の長崎市の街並みは、私にとって非常に印象的なものとなりました。日もちょうど暮れ始めた頃合、佐世保からの長い旅を終えた私を迎えたのは、視界一面に広がる人々の生活の灯り。うっすらと見える坂の様相は、「この街はいったいどのような景観なのか」、翌朝目に映る景観を求めて、ある種の緊張感を持って私の網膜も彩りました。次の日、早起きしてキリスト教教会へ足を運びましたが、そこから登り、見下ろす市街地と港のようすは、いままで訪れたどの都市とも異なる、坂と海と歴史に特徴づけられる独創的な風景です。そんな長崎市の中心街を東へ、峠をひとつ越えて島原半島側の湾に出ます。雪が降りだすほどの寒さの中、私はこれからペンギンになります。


長崎ペンギン水族館の魅力は、敢えて語るまでもないことですが、ペンギンです。地球上に6属18種生息するペンギンのうち、本館には9種が大集合。当時の私は、とりあえずたくさんのペンギンを目に焼き付けたくて仕方がなかったので、忙しなくいざ入館!入口すぐ、私たちを迎えるのは巨大な亜南極プールだ!とりわけ、ペンギン類最速を誇るジェンツーペンギン(Pygoscelis papua)の動きには目を奪われるものがあり、自由闊達に、優雅且つ力強く動き回るその姿は、まさに大空を羽ばたく鳥そのもの。もう既に満足感が昂りつつありますが、このペンギン水族館、ペンギン以外にも地元・長崎周辺の水生生物展示もしっかりとあります。確かにペンギンの陰に隠れてしまいがちかもしれないですが、長崎近郊の生態系をよくよく理解できる、十分なコンテンツ量です。さて、亜南極プールを上から覗き、ゆったりと寛いでいるペンギンたちとご対面。ペンギン独特の、この、ふわふわした空気感…。ずっと見つめていられるような、そんな魅力を実感しました。もちろん、ペンギンについての解説ゾーンは言わずもがな、実に知識の深まるものです。外に出てみると雪が。温帯域に暮らす彼ら本来の生態とは似つかわしくないかもしれませんが、ケープペンギン属(Spheniscus)のペンギンたちが視界一面にたくさん!そして初見のコガタペンギン(Eudyptula minor)もいます(当時は初見だと思っていましたが、よく考えたら葛西臨海公園ですでに見たことありましたね…)。ペンギンはかわいいですね。


これにて、日本で見ることのできるペンギン(13種?)はコンプリートしたかな…。してないかも…。もしかしたら未だ見ていない種が国内の施設にいるかもしれないので、「この動物園・水族館には珍しいペンギンがいるよ!」との情報、お待ちしてます!



新屋島水族館(香川県高松市)

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・展示内容:☆☆☆☆☆

・入館料:☆☆☆

・アクセス:☆☆☆

・周辺施設:☆☆☆☆

・眺望:☆☆☆☆☆


瀬戸内海の多島美を味わうため、はるばる香川県までやって来ました。驚くほどの快晴、車窓に映える海と島の景観は、私にとってこれ以上ない感動を与えてくれるものであります。本日訪れるのは眼前に聳える異様な山体、すなわち典型的な残丘地形(メサ)が残る屋島の頂にあります。もっと知名度が上がってほしい香川県の名物ナンバーワン・若鶏をしゃぶり尽くした後、皆さんご存じ屋島ドライブウェイをバスで登り標高300m弱の山の上へ。お遍路札所ということもあり行者の方も多いですが、人々の真の目的はこの景色ではないでしょうか。ああ、筆舌に尽くしがたい絶景ですね。この景色をずっと眺めているのもまた酔狂ではありますが、水族館が、あるのなら…それは行くしかないですよね。


新屋島水族館は屋島の山頂に佇む中規模な水族館。入館してすぐに目に入るのは、熱帯地域の水槽展示、ペンギン、カワウソ、そしてマナティー。前回沖縄で見たものと同種のアメリカマナティー(Trichechus manatus)ですね。瀬戸内の空気感を全力で味わっていた最中にこうした生物を眺めるのは違和感がありますが、いや、この違和感こそ魅力の一つでもありましょう。よくよく考えるまでもなく、ここは屋島山頂。搬入作業やメンテナンスを鑑みるとそれなりの労力が偲ばれますね…。もちろん瀬戸内海や四国の淡水魚たちについての展示もあり、独特な館内構成と相まって、進むたびに何の展示があるのだろうとワクワクさせるつくりです。しっかりと学名が記載されているのも高ポイントです。迫力のある巨大水槽やトンネル水槽といったものはないけれど、無難ながら質の高い展示を、調整された照明の部屋で独特の空気感を味わいながら鑑賞する…。これぞ水族館の醍醐味ですね。


せっかくなので帰りは徒歩で下山しましょう。とほほ。館内の穏やかな雰囲気とは打って変わり、屋島から望む修景は壮大であることを、徒歩であるからこそ改めて実感させられます。屋島ドライブウェイは近頃歩行者・自転車にも開放されたというところで、私のような徒歩旅行者にとっても大変ありがたい道となっています。以前まではケーブルカーかお遍路道しかなかったわけですからね。そのまま、ゆっくりと坂を下りながら美しい景色に舌鼓を打ちます。死ぬほどいい景色ですね…。歴史、宗教、観光と、高松市のシンボルである屋島。それを五感で味わい尽くす、素晴らしい旅でした。



おわりに

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以上、私の主観による水族館紹介でした。少しでも皆さんの参考になったならば幸いです。どの水族館もそれぞれ違った魅力があり、訪れるたびに新鮮な喜びを感じることができると思います。そして往々にして、水族館の周りは水産資源が豊富。水族館を訪れる予定を立てる際は、その日の食事選びもまた楽しいものです。皆さんも、お出かけの際にはぜひ水族館に行ってみてはいかがでしょうか。いつも見ている自然の景色が、いつもとは少し違ったように見えるようになるかもしれません。


レヴィアことR.T.(ICC Student Staff Leader)

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